「12月29日」
以前の私の年末の楽しみと言えば温泉旅行に行くと言う事でした。
普段行けないような高級旅館に気の置けない友人たちと、美味しいものを食べてお酒を飲み語らい温泉に入って一年の疲れを癒す。
そんな恒例行事があったのですが、家庭を持ったり、引っ越してしまったりで今はなくなってしまいました。
それでも温泉くらいは浸かりたいな、と思っている年末。
29日今年の仕事が終わり私は浮かれ気分で年末の買出しに行きました。
既に買出すものは考えていて、イクラとか普段買えないものもを奮発しちゃおうかなぁ~って感じ。
そう、年末はチョッとリッチに、なんです。
そんな矢先、漬物と正月のお雑煮用の鳥肉を買って、いよいよ魚屋に赴きイクラを買おうと「これイクラ?」って聞こうとした時。
?
あれ?
ないぞ?
!
まじ!
そんなはず……
財布がなくなっていました。
中身は年を越すためのお金を始め、免許証、キャッシュカード、クレジットカードとそんな感じのものすべて。
最早イクラも買えることもなく、周りを徘徊し、警察に行って帰宅しました。
そして、カードの類すべての会社・銀行に紛失の連絡を入れて放心状態な私。
あ~温泉に行きたい。箱根に行きたい。
でも、お金は引き出しにしまってあった僅かばかり。
……そうだ!自転車で行けばいいじゃん。
打ち拉がれて家で悶々とするよりも、折角の年末やっぱり普段できないことをやらないと、です。
そこで専門委員会を開いて学識経験者および経済評論家の意見の総意により発案されたのが
特別緊急企画「一人自転車箱根駅伝大会」
東京日本橋から芦ノ湖までの約100kmを自転車で挑戦する。
来る正月の箱根駅伝をよりリアルに楽しんじゃおう!って言う企画。
無事完走の暁には温泉つきです。
ついでに一年の疲れも癒しちゃいましょう。
ああ、なんと年末にうってつけのイベントと言えましょうか!
「一人自転車箱根駅伝」
12月30日
6:30 横浜駅 自転車は輪行バックにいれて東京駅に向かいます。
8:00 日本橋 箱根駅伝と同じ時刻にスタート(読売新聞社の場所が分からなかったので日本橋にしました)同じこと考えている人がいるかな、と期待していましたが人気がなくて残念。年末、朝の都心は車も少なく快調です。足運びも快調。天気もいいぞ。
9:20 鶴見(第一中継地点)順調に到着。風は多少冷たいものの身体が暖まっているので丁度いい感じ。ウエアーはユニクロのサーモテック下着と同じくユニクロの自転車ウエアーもどきのフリース。安いけど快適です。
また付近では、すでに放送の準備をしていました。
そして何故か駅伝のオブジェが。
近くのコンビニで休憩して、9:30に出発。
花の第二区間を走ります。
第二区間はずっと地元(鶴見、戸塚は勤務地、保土ヶ谷は学校、横浜周辺は実家)なのでコースを熟知しています。逆言えばイマイチ新鮮味に欠ける(笑)。
それでも一気に自転車で横浜を縦断したことはないので興味は尽きません。
神奈川新町の交差点で信号待ちをしていると、野球とかテニスとかシゴトとかで交流が深いO氏がフラフラと歩いているのを発見。
意外な場所での発見に、何か意外なイベントの予感がしましたがそれは杞憂に終わり(残念)、O氏はシゴトとのことでした。
O氏に「よい年をお迎えください」って言われたけど「ああ、財布なくなってよい年迎えられるのか?」って思い自転車を漕ぎ始めました。
10:00 横浜 みなとみらい地区を臨む 風が強くて自転車の走行に影響します。
駅伝の選手たちも相当風の影響は受けるでしょう。これはテレビ観戦だと分り難いことですね。
10:20 保土ヶ谷 権太坂 最初の難関とされている所。ダラダラした坂が長く続きます。ちなみに私の母校は権太坂の坂上にあります。懐かしや~。
そういえば、松坂の入札記者会見で額を発表していた西武のオーナーさん(確か太田さんと行って同窓会長を歴任している)が、我が母校のOBであるというのに額の大きさと共にビックリしました。出世頭ですな。ならば出世尻付近は財布落とす体たらくな私か。
その後、駅伝コースは横浜新道を経由しますが普段は車の専用道なので、一般自転車は不動坂を左に曲がり東海道の旧道を進みます。
10:40 戸塚駅前 以前は駅伝コースであった「開かずの踏み切り」この時も全く開かずで、すっかり休憩できました。
11:00 原宿交差点 旧道から新道に合流。合流地点を間違えて第二中継地点より先で合流してしまいました。残念。
ここで、カロリーメイトとアミノ酸を飲んで10分くらい休憩しました。若干筋肉に疲労感、そして膝に痛みが認められます。
その後、江ノ島方面に進路をとり遊行寺の坂を下り藤沢駅前を通って湘南海岸方面に向かい国道134号線に入ります。
11:40 浜須賀海岸 今日は結構波があるのでサーファーが多いです。
この後、暫く海岸線のサイクリングロードを走ってみましたが、急ぐ場合は国道の方がスピードアップが期待できます。
12:00 湘南大橋より富士山と湘南平のテレビ塔を臨む
12:15 第三中継地点 花みず川レストハウス 20円払って用をたす。
周りは駅伝の準備をする人とゾッキーが沢山。
12:30 大磯 松並木 東海道の雰囲気を少しばかり感じることができます。
チームで自転車を漕ぐ方たち(物凄いスピードで)がいて壮観でした。
13:20 第四中継地点 小田原 メガネスーパー本社前。
四区は最も順調に来たといっても良いペースでした。
ただし、膝の痛みが深刻です。「箱根口」箱根の山は天下の剣と言いますし、目前に見える山々を眺めこの「箱根口」と言う看板を見るといよいよ一番苦しい、最後の闘いを迎えるのかと思うと憂鬱になる気持ちも否めません。
もうゲームオーバーにしてしまおうか?
そう、ゲームに例えるなら今の私はHPは殆ど残っていないのにボスキャラと対峙してしまったと言った感じ、です。
ああ、セーブできればいいのにな。今で言うセーブとは「温泉」であったり「ビール」であったりなんだけど。
箱根の山を登っていく間に沢山のセーブポイント(温泉街)を追加するはず。
ならば、行ける所まで行って、そこでセーブするのもそれはそれでよし。
じゃ、ここで止めるのではなくてとりあえずボスキャラと闘ってみよう。
ということで、ポケットに忍ばせてあった、ポーション(カロリーメイト)とハイポーション(アミノバイタル)そして聖水(お茶)を取りました。
13:50 第五区間、登山開始。
14:30 蛙の滝 湯本付近までの交通渋滞を抜けるとグッと気温が下がるのを体感できます。しかし、その分登坂の傾斜もきつくなるので身体は全く寒くありません。むしろ汗が半端なく出てきました。また、交通量多くて走り難いです。
15:00 宮ノ下 コンビニで休憩。聖水(ジュース)とポーション(羊羹)を購入。四区までで500mlしか使わなかった聖水が既に1リットル消費してしまいました。それでも街は箱根駅伝歓迎の雰囲気に包まれています。自分が応援していると勘違いすることで、もう少し頑張ってみることにする。
流石にここまで登ってくるとユニクロのサーモシャツとサイクリングウエアーもどきのフリースでは発汗による体温上昇分を外気に逃がしてしまうのでかなり寒い。用意しておいたウインドブレーカーを羽織って出発した。
と言っても、すでに討ち死に寸前の落人のようにフラフラで自転車を押して歩いていることがほとんどとなっている。
それでも汗はかくかく。その一方で、吐く息真っ白で、路側の壁から染み出る水は凍っています。
15:40 三河屋旅館前 こういった撮影ポイントを見つけ、撮影にかこつけて休みつつ……
16:10 でた~。なんとも具体的な表示! ゴールまであと少しだよ。
この看板見た時は正直一人で小躍りしました。
16:30 ついに国道一号線最高標高地点に到達。ああ、こんなに登ってきたとは。
芦の湯を過ぎていよいよ芦ノ湖に下り降りる坂の途中。
山の稜線が赤く燃え、その眼下に待ち望んだ芦ノ湖の水面同様に赤く染まる様を眼下に捉えた時、私はやっと開放された気分になり、凛とした寒さの中、思わず叫んでいました。
「やったぞー」
芦ノ湖湖畔は丁度夕暮れ時でホントにキレイでした。
16:50 箱根駅伝往路ゴール地点到着 第五区間はなんと3時間を費やしました。
走行時間:6:47:08
走行距離:111.56km
平均時速:16.4km/h
最高速度:45.1km/h
(すべて歩き含む)
帰路は旧道経由で箱根湯本まで下りました。
下りはほとんど自転車を漕ぐことがないので身体の冷え込みが激しいです。
身体を温めるために甘酒茶屋で甘酒を(砂糖無しだがほんのり甘くて美味しい!)
そして念願の温泉。湯本町営温泉「弥坂湯」に浸かって、じんわりしました。
そして湯船に浸かりながら考えていたことと言えば、
それにしても、駅伝の選手って凄い!と言うことです。特に第五区走者は人間か?というくらい。
そして、私みたいな体力のない者であっても一人箱根駅伝できてしまうという、自転車というツールにも驚きを隠せない一日でありました。
……そして、帰りの電車に揺られながら考えていたこと。
そういえば、財布なくして、カード類も全部停止したということは、お金も下ろせないし、カードで買い物も出来ないゾ、と言うこと。
果たして私は「よい年」を迎えることができるのだろうか……
それはそうと、それでは、皆さん。
今年一年ありがとね~。
そして、よい年をお迎えください。